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ドクダミママ至言

母業落第の果て:もっと早く知りたかった子育てへの答え

三男の桃の木と母の気持ち

我が家の敷地にある桃の木。

この木の苗は三男が中学生の時に植えた。

 

昨年までは一年に3個くらいしか実らないどうしようもない劣木だった。

それが今年は始めての豊作で大量の桃の実がなった。

 

これは息子の人生にもやっと実がなり始めてきたことを象徴しているかの如くだ、

と、思っていた矢先のことだった。

折れて地面に倒れた桃の木の枝。

それが昨日ポキッと折れてしまった。

そして桃の実の半分が地面に落ちた。

 

もしや・・・。

いや・・・彼の身に何も起きてはいない(はず)。

 

きっとこれは自分だ。

枝はポキッと折れた自分の心を象徴しているのかもしれない。

今までずっと耐え忍んできてもう耐えられなくなった自分がこの桃の木。

 

重たくて重たくて・・・

うまく支えてあげれない。

それでもいつか実がなる日を待ち望みながら

長い年月を耐え忍んできた。

 

実はちょっと前にこの桃の木の苗を植えた三男にやっと仕事が見つかった。

コロナ禍で就職氷河期に突入し、執念で400社も申し込んだ。

そのうちの数社からお声がかかったけれど・・・結局最後の雇用マネージャーとの面接で落とされた。その数社はかなり名前の知れたエリート会社で落ちた時は親子共々泣いた。

 

人生に疲れ切った息子は親に内緒で米国陸軍に予備兵として申し込んだ。

ウクライナ紛争の数ヶ月前の話だ。

 

親の心配をよそに、彼は何事もなく6月中旬に無事訓練から戻った。

そしてそれと同時に仕事が決まった。(予備兵はパートタイム軍人なので一般の仕事を見つけないといけない)

2社から合格通知があった。一つはモーゲージ会社(住宅ローン会社)。もう一つは保険会社。

本人は規模の大きいモーゲージ会社は断り、7人しか従業員のいない小さな保険会社に決めた。

理由は給料。

モーゲージ会社は年収$45,000。(これは女性の事務職の人の初任給くらい。)

保険会社は$60,000。(アメリカの新卒はこのくらいが平均)

 

モーゲージ会社は息子が断ると、四半期に一度$5000のボーナスを支給するとすかさず言ってきた。でもそれは100%の約束ではない。おそらく引き止めるための口実に過ぎないと見た。

さらに不動産業界は今厳しい状態にある。今後のさらなる利上げを恐れ、また不動産価格の高騰で人が家を買わない。これが解決しなければモーゲージ会社は生き延びりが難しい。だからリセッション寸前でこの橋を渡ることは危険度が増す恐れがある。それも断る理由の一つ。

 

しかし長い目で見るならこっちの方が良いようが気がしないでもない。それは彼の分野だからだ。キャリアを構築するには自分の強みを活かせることをしないとダメなのだ。「なになに」の分野でプロ!と言えるようにキャリアを構築していくことが戦略なのだ。

しかし親が何を言ってもそれは彼にとっては要らぬお節介なので何も言わなかった。

 

そういえば前回のインターンシップもお金で決めた。で、結局それは良い判断ではなかったと言うことが後で分かった。

最初に親はもう一件の方を薦めた。でも聞くわけない。

案の定、親の言った通りとなった。

それでも本人は自分の浅はかさを認めない。

 

なんでもはしょって数秒で決断を出す息子。

(結婚もそれ。買い物もそれ。よく考えずに勢いで決める人!)

もっとも何年も考えてなんの決断も下さない他の子供たちよりはマシかもしれない。

でも早すぎる決断もどうかと思う。

猶予期間に最低1週間はくれるのに、その瞬間で決めるバカ。😓

 

実はこの保険会社では彼の専門はあまり生かすことができない。

ということは職替えをする際に、自分の専門分野で経験を積んでこなかったと言われることになる。また、経験が足りない!と言われる羽目になる。

つまり、また競争で負けることになる。😰

 

先週、息子はボストンの大学院にも戻り、仕事も始めた。

仕事量はかなりあると言っていた。

この分でいくと残業もあるだろう。

残業なら学院の勉強をする時間が取れない。

 

断った会社の方がよかった気がする。そっちは暇らしい。

勉強にも邪魔が少なくていいだろう。

それならたとえお給料が低くても長い目で見てそちらの方がいいのではないだろうか。

 

親は先の先まで考えているけれど若い彼は目先のことしか考えていない。

それが彼の個性であり、まさに彼の生まれ育ったアメリカ文化を映し出しているように見受けられる。

アメリカは若い国なので、ずうっと先のことを見据えて物事を決めると言う文化ではない。

それが国民性なのだ。

 

常に今が大事で、短い展望しかない人が大多数に見受けられる。

この国で「トシだから」と言う台詞もあまり聞かない。

だからか新規なものを取り入れる勢いがこの国にはある。

それはいいことでもあり悪く出る時もある。

 

悪く出て悲しむのは本人だけでなく

親もだ。

でも先のことを心配しても仕方がない。

息子は仕事が見つかっただけでよかったのだ。

彼の決断がどの方向に行くかは彼の運命であり、親の出番はない。

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折れた桃の木は

やっぱり・・・

必死になって耐えてきた自分の心だった。

それがポキッと折れたのだ。

それはあたかも安心した我が心を象徴しているかのようにも取れるが

やっぱりもう頑張れないと

支えきれないと

心が根を上げた、と言った方が近い気がする。

そしてもう頑張らなくてもいいという自然からのお告げなのだ。

 

難聴を始め、多くの体の問題を抱える息子に仕事が決まった。

ホッとしたのか

やっぱりポキッと折れたのは母の心だったに違いない。

 

ハッピー・インデペンデンス・デイ!

インデペンデンスは建国記念のこと。

でも母にとっては意味が違う。

 

我が子の自立の日、おめでとう。

我が子の自立の日イコール母の心がポキッと折れる日。

 

ドクダミママ至言

我が子のことで心がポキッと折れる時は母にはよくあること。

ずっとずっと支えてあげるのは母親で

でもずっとはやっぱり無理なのだ。

ある時点で終止符を打つときは必ずくる。

 

折れた枝はもう元には戻らない。

もう疲れ切った桃の木の母は

自然の成り行きに身を任せるにかない。

ボロボロになった我が身を案じながらこれからは生きていくのだ。

そして可愛い桃の実の運命が良いものであるとひたすら信じていく。

 

親のエゴなどは捨てて

目に見えない宇宙のエネルギーと

その宇宙を管理されている神の御腕に自分と我が子の魂を任せ

信頼していくことが

心安らかに生きる術と言える。