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ドクダミママ至言

母業落第の果て:もっと早く知りたかった子育てへの答え

伝記は自分で書かせること

庭のワイルドフラワー4輪。我が家の4人の子供たちも野生児。みんな好きなところに勝手に咲いて自分勝手に生きている。親としては勝手にどこにでも咲いてほしくないし、もっと土壌がましがなところがありそうだと思う。でもそこで本当にいいならそこで頑張って花を咲かせるのもあり。

長男の誕生日

長男が6月8日に32歳の誕生日を迎えた。

 

ガソリン代が高騰していることから訪ねることを躊躇したが、

一年に一回だけの誕生日だし

コーンブレッドでも焼いて届けてあげることにした。

 

子供の時はいつもケーキを焼いてあげていたけど・・・今はただのパン。

でも彼にとってはお母さんの味だからまあいいか・・・。

バターもたっぷりしみてリッチな食感の黄色いパン。

 

それをタオルに包んで、大雨の中、車を急がせた。

高速で45分。

天気が崩れていたためいつもより時間がかかってしまい

運転中に息子は心配して電話をかけてきた。

 

やっと着き玄関に現れるなり嬉しそうな笑顔で出迎えてくれた。

「こんなシンプルなパンしか焼いてこなかったけど・・・気持ちだけ」

と伝えると彼は包んであったタオルを外し思わず顔をほころばせた。

 

彼は自分は親から何かをしてもらうにふさわしい人間ではないし

愛される値打ちもないと思っているようだ。

だから親が尋ねていくと(年に一度だけど・・・😅)

素直に喜んでくれるので訪ねがいがある。

 

わたしはこの長男に特別な気持ちを抱いている。

 

どんなに泣いただろうか。

今でも思い返すと目頭が熱くなり涙で全てが霞んで見える。

胸がズタズタに切り裂かれるような痛みがよみがってくる。

 

自分はこんなに人を愛したことがあっただろうか。

 

親の気持ちは親になってみないと決してわからないものとはよく言われているけど、

どんなに我が子を想っているか、

その強く果てしない想いは親にしかわからない。

 

心配させられ

苦労させられ

涙を抑えることができないほど親は我が子を愛する。

失恋は一生のうち数回しかない。

でも親はこの締め付けられるような想いを度々経験する。

’Broken heart(壊れた心)’ は実在する症状で多くの親がこれを経験する。

 

世の中にこんなにも深く

こんなにも強く

こんなにもせつなく

こんなにも心を動かすものは他にないと断言できる。

 

ご存じのように長男はゲイで

今もゲイのパートナーと暮らしている。

実はわたしも夫もこのパートナーをとても気に入っている。

人間的に素晴らしい方だと思っている。

実際、他の息子たちの嫁よりはるかに気に入っている。

特にわたしは新しく増えたこの息子をうんと可愛がっている。😅

 

息子は大学院も残すところあと一年。

今もビジネスデータ解析士の仕事も続けているので多忙だ。

精神は安定し、しっかりと地に足をつき、

目標に向かって突き進んでいる姿を見ることほど親として嬉しいことはない。

 

ここまで辿り着くまで長い旅路だった。

心配から父親は髪が真っ白になってしまった。

わたしはそこまで白髪にはなっていないけど・・・シワが増えた・・・特に眉間に・・・😅

(怒りや心配や不安は眉間のシワの原因・・・😅)

 

そのことに長男は気づいていて

今は親に心配をかけないように過去を挽回するかの如くに生きている。

そりゃあ、今だってゲイだけど・・・もうそれはどうでもいい😅。

それにあまり気にもならなくなってきた。

(欧米ではゲイ人口の間にサル痘が流行してきてちょっと心配だけど・・・😅)

 

どの親にとっても

どの子も特別だけれど一番上の子供は特に特別だ。

初めての子育て。

だから右往左往が多く

心配事が多く、

不安が多い。

アマチュア両親の実験台になり・・・親の犯す失敗の犠牲者となりやすい。

 

だから本当に彼には頭が下がるばかりだ。

ごめんなさい、って何回言っても自分を赦せない。

 

でもいつも感じていた。

 

この子はなんと慈悲深く

ダメ親をこよなく愛してくれているのかと。

こんななさけない親でも、赦してくれて感謝しきれない。

 

彼は弟や妹にも優しく面倒見がよく

典型的な長男だ。

心優しく思いやりがあり

エゴは小さく

心の綺麗な人だ。

 

立派になったなあ・・・と長身の彼を見上げる。

こんな日が来るとは思いもしなかった。

 

誕生日おめでとう。

わたしたちを選んで産まれてきてくれてありがとう。

そしていたらないこの親にずっと忍耐してきてくれてありがとう。

それを再度伝えると

彼の住まいを後にした。

 

外に出ると雨は止んでいた。

9時を過ぎていたのに空にはまだ微かな陽が残っていてそれが地平線上に広がっていた。

 

子供の人生の筆者は本人

親は子供の現状を見て

希望ゼロ!と終止符を打ちやすい。

 

でもちょっとまだ早すぎるかもしれない。

それは我が子はまだ自分の伝記を書き終えていないからだ。

その伝記は本人に書かせてあげないといけない。

それは自叙伝であり、親が書くものではないのだ。

その伝記は本人のもの。

 

伝記には成功だけでなく失敗談もないと面白くない伝記になる。

だから我が子には失敗も許してしてあげよう。

修正も編集もだめ。

赤ペンなんて言語道断。

 

それは親にとっては精神的な拷問であり苦悩だ。

それでも伝記は本人に全部書かせよう。

自叙伝にしてあげよう。

 

覚えておくべき最も大切なことはその伝記はまだ書き終わっていないということ。

 

うちの成人した子供たちの自叙伝もまだ最終章には至っていない。

実際のところまだ半分も終わっていない。

だから希望は沢山ある。

 

どんなストーリーが書き加えられるか・・・楽しみだ。

引き続き波瀾万丈人生か・・・・。😅

 

ドクダミママ至言

子供は自分で自分の伝記、つまり自叙伝を書く権利がある。

そこにはプラスの経験だけでなくマイナスの経験も書かれた方が読むには面白い。

それには恥になるようなことも書かれるかもしれない。

それでもいい。

 

その本を書くのは本人でまとめるのも本人。

誰のものでもなく彼の本なのだから好きなように書けばいいのだ。

 

伝記はまだ書き終わってはいない。

だから親は赤ペンで書き込みを入れたい気持ちを抑えて

本人にその偉大な本を完成させてあげよう。