このサイトにお越しくださる方に海外在住の方が多くおられるようなので今回はそのことについて触れたいと思います。
見かけは日本人っぽくても・・・
海外で生まれ育つ日本人(民族)の子供たち。
親は日本人。
でも子供は日本人ではない。
たとえ日本語を話しても、
和食を食べても、
さまざまな生活様式が日本的でも
見かけは日本人でも。
彼らは根本的に育った環境の中の主な部分を占めるその外側の環境である学校や友達の影響を強く受けている。(日本人学校にフルタイプで通っていたら話はちょっと別ですが)
だから彼らは日本人ではない。
海外生活が長ければ長いほどそうなる。
行動様式も言葉遣いも、全てを住んでいる国に順応させなければ村八分もある。
だから継承文化を捨てるしか生き残る術がないと潜在的に理解しているのだろうか。
アメリカの美徳
私の住んでいてるアメリカという国は
自分を打ち出し、目立つ行動を美徳とする国だ。謙虚?どなたが謙虚?
それはこの国では美徳ではない。
背骨は丸めず、ヘコヘコせずに、シャキッとして自信に満ちていて、
真っ直ぐに相手の目を見て話すことが尊敬される人のすること。
弱そうにしているとバカにされるし利用される。
だからだんだん気がつかないうちにジャングルの野獣人間になっていくのだ。
それが嫌でやっぱり日本式まで行かなくとも丁寧に喋るくらいはやりたい。
でも丁寧に返すと相手はどうしていいかわからなく困惑したりする。
それでまたアメリカ式話し方に戻したりしてみるけど、そこまで落ちるのが嫌だと思うこともあり、やはり丁寧の方がいいという結論に達した。
さらに発見したことは、丁寧な態度で丁寧な言葉遣いは意表を突くには戦略的に効き目があるということだ。
「理解できない人間」のふりをするのだ。
そうして自分の望み通りに持っていく。
でもだからと言って自信のなさそうな態度は当然マイナスなので満面の笑顔で何も言わせないかの如くにこれを実践するようにしてる。
これが日本から来た自流の生き延びり戦略。
そしてやっぱり、同等の態度で臨まないといけない。
ここでは目上の人に対する態度などというそんな表現もあまり聞いたことはない。
そもそも言語自体が日本語のように謙譲語とか尊敬語とかそういう複雑なものがない。
もっとも丁寧な言い方というのはある。でも日本語のそれとは複雑性において比較にならない。
アメリカは新しい国でカジュアルな文化なのだ。
そういう文化が楽でいいと思うときもあるけれど、不快感を覚えるときも多々ある。
若い20代の母親でも自分の母親の代の女性に対しても尊敬を示すような話し方をしないのが普通だ。どこでも誰にでも同等という感じがする。
私も実はそういう経験が多くある。個人的には、国や文化の相違を超え、子育ての経験が多く長い年上の女性に対しては、外側だけでも尊敬の意を示すべきだと思うのは自分が日本人であるからなのか。
でも若い女性だけではない、そもそも名前だって自分の子供の友達も私に対してファーストネーム呼びが普通。それがいいとか悪いとかいうつもりはない。ただ文化の違いというだけ。
でも我が子には、親と同じような年齢の人にはどんなに仲が良くなっても丁寧に話すようにと言ってきた。「ヘイ、ヘレン」ではなくて、「ハロー、ミセス・ジョーンズ」と英語の教科書通りを思わせるような言い方をすれば絶対に間違いがないと言ってきたので、それは習慣化したようだ。
それでもやっぱり彼らは根本的に日本人ではない。
子供のアイデンテイテイとは育った国の文化に強く影響される。
だからそういう「目上の方」などという概念に常には従えない。
頭にも浮かばないらしい。
親に対してだってそうだ。
我が子は親に対して言いたい放題。
尊敬?
(外国から来た親だし)
絶対されてなんてないように感じている。
何が嫌かって?
最も嫌悪感を感じてきたのが実はこれ。
西洋の言語に共通することは、文章の最初にほぼ必ず人・物を指す名詞および代名詞(つまり人名など)がつくこと。二人称の時は”You”を必ずつける。主語は省略しないのが原則(例外はあるけど)。
日本ではこれは異なる。普通は人の名前をはっきりいうか、親のことをお母さん・お父さんなどと呼ぶのが普通だ。
または、主語を飛ばしていきなり”ねえねえ”と話しかけたりもあり。
でも英語では、最初に呼びかけるときだけ"Mom""Mama"呼びだけどそのあとはずっと
”You"だ。
この”You"だけど〜・・・なんとも小憎らしく、生意気な響きがすることがある。
これを和訳すれば”あなた”となる。
親に向かって”あなた”なんて・・・ちょっとね・・・。
でも子供が機嫌が悪い時は、これが”あんた””おまえ”(とか”てめえ”)という感じに
どうしても聞こえてしまう。
だから親はカッチ〜ンときて当たり前なのだ。
次男は母親に対して”君”とか言っていた時代もある。
”君”ですか?
アニメでも見てTPOを理解していないで使っていたのだろう。
それにしても”君”なんて・・・
わたしはあんたの部下じゃあない!!!!
そもそも子供に日本人の子供のような振る舞いを望むことが間違っている。
それでも親は何年海外に住んでも日本人であることには変わりがない。
日本の国籍を喪失しても、中身は日本人ということだ。
だから、我が子の醜態には目も当てられない、というのは本音。
しかし、家庭より大きな影響力を持つこの社会に影響され親の出る幕がなくなった場合は
みんな泣く泣くあきらめるようだ。
とても我が子とは思えない・・・。😰
他の民族
ところがアメリカに住む他のアジア系はちょっと違う。
中国系の知り合いが結構いるが、日系と子育てが異なると感じている。
実際、中国系の子供たちの友達は中国系が大多数を占める。
親は子供の言動に目を光らせている(これは日系も同じだけど)。
中国系の子供の友達には中国系の親がいて中国系の親戚がいてみんな同じような見解を持っているケースが多い。
つまり、子供の環境を全て中国の文化で固めて逃げれないようにするのだそうだ。
だから彼らはものすごく民族意識が高い。自分たちで固まり、その文化を継承させるための戦略を崩さない。
反対にハーフを含めた日系はこの部分が異なる。
日系アメリカ人(ハワイを抜かして)の友達は白人が多いか、雑多、つまり誰とでも友達になる。宗教も関係なし。だからよく言えばコスモポリタン的なのだ。
しかし、これだと民族意識が弱まる。
親の影響力も下がる。
そして何故か、日系は白人文化にくっついていく人が多い。
これは中国系の友人によると、絶対ありえないらしい。
中国系の家庭では、その辺の白人(エリートを抜かす白人)の真似をするな、
と教えているそうだ。
「真似をしたらお前の人生は終わりだ!」とも言っているらしい。
さらに、ハーフを含めた日系と彼らの大きな違いは、最終的には親に従うということ。
大人でも従う。
ここにも大きな違いがあると感じている。
他にお金持ちの家の例も日本の方が思っているのとは異なる。
そもそも、アメリカでの金持ち(ハリウッドを抜かす)というのは日本にお住まいの方が思っているほど考え方がオープンでもなく、結構伝統を大切にする人が多い。そして子供には厳しい。つまり財産があるうちの子息がめちゃくちゃなことをするならその家は落ちぶれてしまう可能性が上がることから厳しくなる。だから家と財産を守るためにも、勝手な行動は許さないのだ。かといって自由がないわけではない。自由があってもそれは限界のある自由であってなんでもござれというわけではない。譲る部分と譲らない部分がある。心ある親は一応「相談」にも乗る、でも全部子供の言いなりというのはまずありえない。
ついでに大反抗し家名を傷つけ、ずっと反省しない放蕩息子には、財産を相続させない親もいる。反抗に付随する損失は大きいということをアッパークラスの子供はなんとなくわかっているようだ。
資産がある家は、刑務所に払う罰金もOK。でも何度も問題行動を起こし反省しない人間には厳し態度が目立つ。
自分の知り合いにも金持ち族がおり、子育ては一般的に厳しい。結婚相手にも当然口出しをする。娘にも、それ相当な家柄の相手をしっかり大学で見つけてくるようにと言っていたりする。だから親が認めるような友人(将来の伴侶を含め)が見つかりやすい大学に送り込む。特にユダヤ系。ユダヤ系はだからか子育てに失敗が少ない。
ユダヤ系は世界の金融市場を握る大金持ちの集団なのだ。家名を守るために伝統を継承するために、子育ては「おおらか」や「のんびり」からはかけ離れている。
特に宗教を実践しているユダヤ系(レベルの差あり。でもアメリカではほとんどが実践している)は、モーセの十戒を子供の頃から教えている。
そしてこの中に子供の親に対する心掛けがはっきりと示されている。
あなたの父と母を敬え。(旧約聖書出エジプト記20:12)
あなた方は、母と父を恐れなければならない。(旧約聖書レビ記19:3)
あなたの父と母を敬え。(旧約聖書申命記5:16)
これだから育て方が根本的に異なる。😓
それでもってみんな結構ちゃんとこれを守る人が多い。
守らないということは、神に対する誓約を破ることになり、神に対して罪を犯すことになる。
それは恐ろしいこと。
真剣な約束事なのだ。
でも日系の子息の子供たちの友達は通常はそういう家の子供ではない。そういうのは全く気にせず、雑多友人関係を築くケースが多い。そしてそういうのに囲まれているから同じような人間に育つ確率が上がる。
父と母を敬え〜?
何を時代錯誤なことを言っているのか?
と答えるのが目に見えている。😓
我が家の子供もひどい・・・
もっとも、我が家はアッパークラスではないし、優秀なユダヤ系や中国系でもないので、
雑多友人関係でも別に構わない。
ただ
食事のマナーも姿勢も、喋り方も全てが頭を抱えるほどひどかった。
でも以前はとても良かった。長男が大学に入りたての頃は、周りから欧州からの”留学生”と思われていたらしい。どんなアッパークラスの御曹司かと誤解もされていた。しかし、その後荒い友達とつるむようになり、朱に交われば朱くなるというようにあっという間に下り坂を駆け降りていった。
ついでに、自分がいかにアメリカ文化に合わない人間で、そういう人間に教育された!と長男は長々と文句を言っていた。そう、なんでも母親のせい!😅
家でしっかり教えても、学校という組織と社会と友人に汚染され親の影響は影に消える。
親の努力はなんだったのか?なんて思うことは日常茶飯事。
確かにこういう親の嘆きはこの国ではよく耳にする。
友人の一人に南米出身で英国生活が長かった人がいる。米国に来てからの自分の子供達の振る舞いには目も当てられないと言っていた。
他の文化を目にするともっと嘆きたくなる。
先日日本の小学校の1日を撮影する動画を見た。どおってことない当たり前の日本の小学校。
でもずっとアメリカに住んでいる自分から見るととても当たり前には見えなかった。
我が子は彼らと同じことができない。
この住んでいる国の文化に染まり、日本の文化を受け継いでいない。
悲しいことだ。
そうやって’文化のない文化’のアメリカ人になっていく我が子を眺め
憂うのは日本人の親のさだめなのだろうか。
結論的に言えることは、
子供がちゃんとしていないのは親だけのせいではない!
環境もかなり大きい。
特にこのアメリカという大雑把でうるさくて乱暴な文化の国。
親の出る幕などないかのよう・・・。😭
ドクダミママ至言
海外(特に北米)で育つ子供は、よく言えばおおらかになるかもしれない。
でもザツにもなる確率も高い。
自立を重要視する国なら親に対する態度もでかい!
だから日本のやり方は通じないのだ。
その国の親のように子育てができないら、子供が反抗する可能性も高い。
でも日本人の親は所詮日本人。そんな簡単に変われない。
変われなくても仕方がない。
できることは半分諦めて手綱を緩めること。
海外で育つ子供をどうにかしようなんて負け戦が見えているのだから。
負け戦に挑むなんてエネルギーのムダ。😅
でも希望はある!
実は、さんざん文句を言っていた例の長男は社会人になってからこんなことをいうようになった。
つまり、
”紳士になるように育ててくれてありがとう。会社の人からみんなそう褒められる”と。
ということは、
いつかは親の努力が実を結ぶときが来るのだ。
いつか、親が正しかったということがわかる日が来るのだ。
ただその”いつか”が問題なんだけど・・・。😅